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バラ苗の購入で園芸店を訪れたり
インターネット通販でバラを検索すると
「ハイブリットティー」という言葉を
目にすると思います。
バラ苗についているラベルには、「HT」と表現されていることもあります。
ハイブリットティーってなんでしょう?
よく目にする割に知らないってことあったりしませんか?
詳しく調べてみると歴史的にも、大切な系統の一つということが分かります。
ハイブリットティーという系統の特徴は、木立生 剣弁高芯咲き、大輪一輪咲き、四季咲きそしてティーの香り。。。。
「これぞバラ!」と思うような
絵に書いたようなバラが
ハイブリットティーという系統です。
花束にしたり花瓶に挿したりして楽しめるような先端にひとつ花が咲いている、そんなイメージでしょうか。
ハイブリットティーという系統の誕生で、私たちはほぼ1年中バラを楽しむ事ができるようなりました。
それまでは
春にしか咲かないバラ、
でしたから。
そして これを堺にハイブリットティー以前のバラ品種を「オールドローズ」それ以降を「モダンローズ」と分けられるようにもなりました。
1867年フランス・リヨンの園芸協会によって「ハイブリットティー系統」の第1号として位置づけられたバラ品種「ラフランス」は有名です。
これはバラ史上 とても画期的で品種改良という意味で大きな役割を果たしました。
このあと、
育種ブームが巻きおこり
「ハイブリットティー」は
さまざまな交配に用いられることになるのです。
バラを愛してやまない人々の試みはまた、ここから始まったのでもありますが。
ハイブリットティーローズとは?
ハイブリットというのは
「異なった要素を混ぜ合わせたもの・組合わせたもの」
または、
「雑種」
イノブタなどもそのひとつですね。
ハイブリットカーも、ガソリンと電気などの2つの動力で動くという意味の自動車なんですよね。
大抵のものは
プラスな意味で使われます。
つまり
組み合わせることで 元のものよりもより良いものになったものをハイブリットというのですね。
バラのハイブリットティーは、
まさにハイブリットでした。
もちろん、いい意味での。
ハイブリットティーは、
ハイブリット・パーペチュアルとティーの交配によって生まれました。
ティーの香り、剣弁高芯咲き、四季咲き性そして、ハイブリット・パーペチュアルの持つ強健生、耐寒性をもつ理想のバラ・・・・
それが「ラフランス」
でも、まだまだ、色のバリエーションが少なく、フロリバンダ、クライミング・ローズ、ミニチュアの品種は、このあとのモダンローズという系統の発展を待たなければなりませんでした。
バラの原種はわずか9種類
中世から近世のヨーロッパでは
たった4種のバラしかありませんでした。
その他中国や日本など
アジアのバラをあわせても
原種はわずか9種類だったそうです。
しかし
バラは、もともと突然変異が起こりやすく自然に交雑種が誕生していました。
ナポレオン・ボナパルトの皇后ジョセフィーヌが世界中のバラを集めたのは有名ですよね。
彼女の居城マルメゾンの
バラ庭園でもおそらく、
自然交配がおこなわれていたでしょう。
そのころはまだ人工交配という概念がなかったんです。。
1800年の終わり頃
イギリスのヘンリー・ベネットが計画的に人工交配を行い科学的な人工育種を提唱しました。。
彼は、もともと牛の畜産家でした。
その経験から優秀な牛の交配で系統をつくることにヒントを得てバラに応用しました。
これが、ほんとうの意味でのハイブリットティーの確立かもしれませんね。
ヘンリー・ベネットの作出したバラの名は、「レディー・マリー・フィッツウィリアム」
やわらかなソフトピンクの美しいバラです。
計画的に目的をもって交配しても新しく品種を作出して安定するまでには相当の年数がかかります。
思っているような品種になるには、気の遠くなるような交配を繰り返し、そしてまた、偶然にも期待しながらの育種となるのでしょう。
バラが突然変異を起こしやすいということは
私も新品種をつくるチャンスもあるのかな?
と、無謀にも ときめいてしまうのです。
ハイブリットティーの特徴と歴史をまとめると
ハイブリットティーは、
「これぞバラ」と思うような花屋さんにあるようなバラ。
ティーの香りで剣弁高芯咲き、四季咲き性、大輪一輪咲きのバラ。
いいとこ取りの理想的なバラ、ですね。
ハイブリットティーの系統は
モダンローズの発展の足がかりとなり
バラの歴史の大きなうねりとなりました。
花瓶で楽しんだり花束に利用したい。
そんなバラを育てたい、いうときにピッタリのバラ品種の系統です。
バラ苗を購入するとき、ラベルに「ハイブリットティー」または「HT」と書いてあるものを買い求めるといいですね。
ハイブリットティーはたくさんの品種の交配に使われている系統です。
剣弁高芯咲きの品種というのは、発現が難しく交配を続けるうちに品種として弱くなることもあるそうです。
つまり、遺伝子的多様性を失ってしまうのだそうです。
病気や寒さに耐えられなくなってしまうのだそう。
こんな問題を抱えながらもきっと
止むことなく新しい品種を生み出していくのでしょうね。
まだまだ、知らないことが多いバラの世界。
私は、バラのハイブリットティー系統が
バラの品種の育種に大きく関わっているとは思いませんでした。
ただの系統にすぎない、と思っていただけに驚きました。
太古の昔から脈々と受け継がれてきたバラの品種改良。
先人の努力とあきらめない心がとても胸を打ちます。
彼らがいたからこそ
私たちは、今、心の底から
「バラを楽しむ」ことができるのですね。
感謝!